格好つけないからこそ、対等に話ができる。篠島の漁師兼経営者が語る「今、求められる島の存在意義」
知多半島の先っぽの町「南知多町」。
その南知多町師崎フェリー乗り場から10分ほどで行くことができる離島、篠島(しのじま)。
そこに、ステーキチャンピオンのお肉が食べられ、漁師が育てた牡蠣を食べられるお店として、数々のメディアにも紹介されている篠島デューテラスがあります。
今回は、篠島デューテラスの代表取締役の新美大二郎さんのインタビューをしました。
新美大二郎さんは、漁師でもあり、ここでお出ししている牡蠣の養殖にも取り組んでいます。
篠島の歴史や魅力を伝えることを通して、「元々、日本人の持っていたもの」を取り戻したい、伝えたいという熱い思いをお聞きすることができました。
ぜひ、お楽しみください。
― ― ― 新美大二郎さんが、篠島の素晴らしさに気づかされたきっかけは何だったんですか?
島外の人にそれを気づかされた。
もう土地が明らかに違う、特殊なんですね、篠島が。
移住者の人たちと接する中で、移住者の人は外の目で見てくれるから、ここが特殊だと気づいた。
ちょうど今、そういうタイミングなんだ。
篠島だけの話ではなくてね。
日本人が元々持っていたものが、ここにあって、(それを求めて)自然と人が集まってくる。
― ― ― 篠島デューテラスでバーベキューを担当する東大介さんは、バーベキューの日本大会を三連覇し、世界大会にも出場しているそうですね。
世界で戦っている、そういう人がここにわざわざ来ている。
ああいう人が自然と来てしまう。
やっぱり、ここが好きで発展させてとか、日本人の誇りがあったり、そういうものがある人が集まってきてくれている。
日本人の誇りを取り戻していかないといけない。
― ― ― 年齢やお金ではない価値観があるのですね。
どう考えても島の収入は、(平均からすると)低いんだけど、俺の頭の考え方だけど、幸福度はめちゃくちゃ高い。
俺がこれだけ遊んどって、人から働きすぎと言われるぐらいだもん(笑)
だけど生活していけている。
親がおって、親の兄弟があって、おじいちゃんおばあちゃんがおって、その兄弟がおってと。
どこかで食べさせてくれるので、島の子どもらは、どこで何を食ったか分からない。
別に気にするところじゃないし、うまいものを食えるところで食べればいい(笑)
そういうサイクルだから、お金を使わないで済んでいく。
あとは、こういう土地柄だと、見栄を張らずに生きていけるっていうことだよね。
ここでは良い服を着なくてももええし。
よそ行きの格好ということで、服を着替えて島外へ出てくるわけよ。
あっちに合わせて格好つけなあかんもんね。
ここでの服装は、仕事着でも何でもいい。
対等に格好つけないで人と人との話ができる。
普通は、そこでお金かかるでしょ。
― ― ― 外面ではなくて、心で人とコミュニケーションがとれるのですね!
よい服装や車に乗っていなくても、その人の気高さとか、落ち着いた人とか優しい人とか、内面が分かってくるわけ。
その情報も、もう垂れ流しだもん。
それを求める人たちは必ず居ると思う。
まず、とにかくこういう場所に人を集めないと。
― ― ― 篠島に人を集めたいと思うのは、どうしてですか?
今から残していかないといけない。
この先の100年200年と、残したもの勝ちだと思う。
同じように昔ながらを残して、それで暮らす島はいくらもあるわけ。
竹富島とかね。
そのまま残して、それを見たい観光客もいる。
昔のままでおってくれっていう形になっている。
そのまま残していって、形にして、移住者を増やさないといけない。
今、人口が減っているわけだからね。
俺は店のことはそんなに知らないもんね(笑)
俺の役目は違う。
― ― ― どんな役目ですか?
伝えること。
祭りを体験させたり、篠島の歴史や魅力を島外の人に伝えること。
ここを好きな島外の人間は、この歴史を俺より深く理解して、そういう人らに言葉で伝えてくれる。
それをやっているのが、東海テレビプロダクションとコラボしているアイドルですね。
若い人たちに、アイドルの情報発信でもって知ってもらう。
― ― ― アイドルとコラボですか!?
3月の牡蠣祭りにアイドルが出演してくれた。
それで完全に確信に変わった。
祭りをやって、自分の娘たちの反応を見て分かった。
娘二人がいろんな名前を覚えて、好きな子も決まってね。
アイドルの子らが歴史を知って、すごい島だよって、子どもらに教えると誇りに変わる。
俺が家で子どもらに教えても違うわけ。
子どもらの喜び方が、親と先生から言われるのとアイドルから言われるのでは違う。
アイドルに「篠島がすごい」と言われたら、子どもらがどれだけすごいなと思うのか。
そういう伝え方を島外の人に言われて、気づかされた。
― ― ― 好きな人や尊敬している人に言われると、島にいることが自信になりますよね。
アイドルと同じことをやるわけ、真似する。
同じことをしたり、それも共有し、絵本だったりそういうのを作ってもらったりして、子どもと一緒にお勉強してもらったりとか、小学校とコラボしてもらったりとか。
アイドルは、上手に喋ってくれる。
そういうアイドルの子たちと考えを交換できるし、俺は俺でこれが良いかも知れないとなってくる。
そういう感じだね。
今、残されとる本当に今の島の子らにしっかり歴史や価値を頭に叩き込んでもらわないと。
子どものうちに篠島にこういう歴史があるということをしっかり覚えとかなきゃ。
俺みたいに恥ずかしい思いすることもないし。
俺は30歳になるまで知らなかった。
― ― ― 篠島には歴史に裏付けされた価値があるのですね。
そういう地域は、日本のいろんなところにある。
そういうところを発展させていかないとあかんなって。
(篠島の)祭の意味だとか、何でこういうことが行われているかということも、ちゃんと祭をやる前に、意味をちゃんと教えて参加するようになると違ってくる。
やっぱり誇りを持ってやるようになる。
結局は、自分が住んでる土地に感謝することになる。
― ― ― ありがとうございます。最後に、篠島に観光に来る人に対してのメッセージはありますか?
「来てくれてありがとう」しかない。
とにかく篠島を知ってもらいたい。
知らない人がいるから、観光業に未来がある。
だからこそ未来がある。
とにかく1回はここに来てほしい。
愛知県でも篠島を知らない人が多い。
とにかく今は知ってもらいたい。
まだ今はそのぐらいの状態だね。
それでお客さんが増えてきて、会社の中でも、そういう教育というか、そういうことを教えていく。
そして、お客さんがここを伝えてくれる。
それを先頭でやってくれたのは、江頭尚です。
そういうのが得意なんです。
そういう人が増えるほど魅力が増える。
ぱっと初めて来て、ここの魅力はこうですってなる。
やっぱり人が来たときに、人が人に話す。
そうやって伝えていく。
それの繰り返しだよ。
― ― ― ありがとうございました。
篠島デューテラスのホームページはこちらよりご覧いただけます
https://shinojima-kankou.com/
後半は、新美大二郎さんの熱意に共感し、名古屋から移住した江頭尚さんへのインタビューをしました。
島への移住したきっかけや、移住してから感じたことなどをお伺いしました。
「島の人とは、より深くコミュニケーションがとれる」というところから、島の人が突出して持つ、ある能力についてもお聞きすることができました。
その能力は今の時代にとても必要とされていて、私自身も大きな気づきになりました。
ぜひ、篠島デューテラスの江頭尚さんのインタビューもご覧ください!
名古屋から離島へ!!!篠島へ移住して気づいた島の魅力を聞いてみた。|南知多町公式note
※江頭尚さんの記事の最後には、名物の牡蠣の食レポもあります!
このクオリティーの牡蠣がこの値段で!?とびっくりしました。
【インタビューを終えて】
新美大二郎さんから、現在、日本人の誇りが失われつつある中で、島の歴史に裏打ちされた文化を通して、日本人の誇りを伝えたい、感じてもらいという熱意を感じました。
振る舞うことが大好きな、新美大二郎さん。
その精神はスタッフの人にも受け継がれ、篠島デューテラスにいると、親戚のお兄ちゃんの家に来たような居心地のよさがありました。