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南知多を存続し続ける2本の柱|官民共創とふるさと納税PJ始動

「南知多町がなくなってしまったら、友達に申し訳ない。」
「子供のために南知多町という名前を残したい。」
 
南知多町の中堅職員の熱い思いで動き出した組織改革プロジェクトを経て、次第に南知多町が次のステップに移るイメージができるようになってきた。
 
管理能力を向上させることもでき、、プロジェクトを進めることに対する経験を積むこともできた。内部の問題解消という意味で、南知多の組織体制はかなり整いつつある。
 
さぁ、次の準備は整った。
 
南知多をこれから先ずっと存続させるために、地域課題解決の出発点に立ったのだ。
 
ここからは、内部の体制整備を終えて、他の市区町村との競争に勝ち残るための施策実行フェーズに入ったのだ。
 
そこで南知多が取った競争に勝ち残るための施策とはなにか?
 
本記事では、私達が考えた南知多町を守るための2本の柱と、組織改革が進んだ南知多での現在の取り組みについて紹介していく。

ご紹介する内容の中には、行政がここまで書いてもいいのか。
という内容も含まれているかもしれない。
 
しかし、地方の過疎化が進む日本で地方が生き残るためには、本気で戦わねばならない。
この生々しさをぜひ感じとっていただき、南知多が吸収合併せずに南知多の名前であり続けるための活動をぜひ知っていただきたいと考えている。
 
南知多町に住む人はもちろん。地方課題を多く抱える自治体の方はぜひ最後まで読んでいただきたい。

1.内部の体制は整った!南知多が南知多として生き残るために動き始める

トップダウン型プロジェクト、ボトムアップ型プロジェクト、首長戦略アドバイザープロジェクトを通して、内部の問題解消という意味で組織体制が整いつつある南知多町は、次のステップに移った。
 
ここでは、生き残るために動き始めた南知多町について知ってもらうために、以下のことについてお伝えしていく。

  • 南知多が勝ち残るための2本の柱とは

  • 現在の地方の現状とは

  • 南知多の現状とは

南知多が勝ち残るためにやると決めた取り組みとは?現在の地方の現状と南知多の現状とは一体どのようなものなのか?ぜひ読み進めてほしい。

1-1.南知多が勝ち残るための2本の柱とは

南知多が勝ち残るために必要なことは何か?
結論から申し上げると「予算を使わない・予算を稼ぐ」ということだ。
 
基本的な考え方として、住民もしくは法人が南知多町で生活や活動拠点として選択する人を増やす、ということだ。
南知多が勝ち残るためには、首都圏に人口が集中していく中でも、南知多に所在して税金を収めてくれる人や団体を確保する必要がある。
 
そのためには、住みたいと思うような魅力的な町づくりをしないといけない。
 
しかし実際には、財源は縮小する一方で、課題解決に十分な予算を割けないという問題を抱えている。単純にクーポン付き広告を打つという、ばら撒きはできない。
 
財源が縮小する中でも課題を解決するにはどうすればいいのか?
 
南知多がたどり着いた答えは、予算を使わないことと、予算を稼ぐことの2つだ。

予算がないなら、予算を使わずに課題を解決する方法を考えればいい。予算がないなら予算を稼ぐしかない。そう考えた南知多町が力を入れることを決めたのが、以下の2つの取り組みだ。

  • 予算を使わずに課題を解決する官民共創プロジェクト

  • 予算を稼ぐためのふるさと納税

この2つの取り組みについては2章以降で詳しくお伝えしていくため、ぜひ読み進めて欲しい。

1-2.現在の地方の現状とは

現在の地方の現状は一体どうなっているのだろうか?
 
前項で首都圏に人口が集中しているとお伝えしたが、それは全くその通りで、今後、都市部への人口集中は加速すると予測されている。
 
それを国土交通省が具体的に示した図解をみていただきたい。


<国土全体での人口の低密度化と地域的偏在が同時に進行(2010年→2050年)>

出典:国土交通省国土政策局「国土のグランドデザイン2050参考資料」

上の日本地図は、2050年の人口増加状況を予測して示したものだ。紫色のところが、人口が50%以下になる場所である。
 
上の地図をみてもわかるように、東京、名古屋、大阪、仙台、福岡以外の地域は、人口が大幅に減少する。
 
人口が都市部に集中することはむしろ当然なので仕方がないが、現在はリニア新幹線の開通も予定しており、日本の経済圏はますます都市部に集中していくことだろう。
 
政府がリニア新幹線を開通すれば、これまで物理的に離れていたものが圧縮され近距離移動に近い感覚で日本中を移動することができる。
ますます大都市の人口集中化は加速するだろう。

地方がこのような状況でも生き残るには、この地域に住みたい、あるいは会社の拠点にしたいと思ってもらえる人を増やす必要がある。
 
もし何も対策せずにこのまま人口が50%以下になった場合は、現在の医療体制や自治体管理体制を保ち続けるのは難しくなる。
住民がいなくなれば大きな病院は必要なくなり、ゴミは1週間に1回しか回収できないかもしれない。
 
不便な地域になればなるほど、ますます人口が減少していく負のスパイラルとなるのだ。
 
こうならないために、地方の人口増加に対して本気で取り組まなければならない局面がもうすでにきている。
信じられないような話かもしれないが、これが地方に置かれるリアルな状況であり、南知多はまさにここに立ち向かっているのだ。

1-3.南知多の現状とは

日本全体が人口減少の問題にさらされている中、南知多町の現状はどうなのだろうか?
 
ご承知のとおり、南知多の人口も減少し続けている。そして前項でお伝えした例に漏れず、南知多の人口も2050年には半分以下になると予測されている。

人口減少する中、今現在南知多が抱える1番の問題は、空き家問題だ。
 
南知多の空き家率は愛知県ナンバーワンで、高齢化が深刻なことから、これからますます空き家が増えると考えられている。

空き家は、まさに百害あって一理なしと言っていいほど厄介なものだ。主に、以下のような問題がある。

  • 治安の悪化

  • 景観の悪化

  • 住民の不安増大(災害時の2次被害や火災など)

  • 害虫被害

現在これらを解決するための取り組みが、「予算を使わず」の方針で行われている。詳しくは3章でお伝えする。

2.予算がないなら稼げばいい!ふるさと納税プロジェクト

生き残りをかけた競争をはじめた南知多町がまず力を入れたのが、ふるさと納税プロジェクトだ。
 
南知多町のふるさと納税は、実は随分前からやっていた。
ただし、深い問題意識を持ってテコ入れができていなかった分野であった。
 
そんな中、これからふるさと納税に力を入れていこうという決断は、組織改革が成功したからこそ、自力でできたことだ。

では、南知多町がふるさと納税に力を大きく注ぐ意思決定の裏には、どのような背景があり、現在どのようなことを行っているか、紹介していこう。

2-1.決断、そして泉佐野市への視察

ふるさと納税に力を入れようと決断したきっかけとなる出来事があった。
 
泉佐野市のふるさと納税の中心的人物である坂上氏の講演「稼ぐ自治体のあり方」に参加し、石黒和彦町長が感銘を受けたのだ。
 
さらに講演会後の懇親会で他の町長が「実際には難しいよね」と話しているのを聞いて、「他の自治体がしていないことをやろう」「他の自治体より先行できるぞ」と、石黒町長は勝機を感じたという。
 
石黒町長は競争戦略として「他の自治体と同じことをやっていてもダメだよね」と考えていたため、他の自治体ができないと発言しているのを聞いて、逆にチャンスと捉えることができた。
 
そこからの石黒町長の動きは早かった。
 
実現に向けて関係する部署の職員を集めて議論を始めたのは、講演があった5日後の11月16日であった。
それから町長の意思決定や指示は、講演から1週間以内ですべてまとめきったスピード感だ。
 
さらに詳細な打ち合わせが11月21日に行われ、泉佐野市の都合もあり少し時間がかかってしまったものの、講演から約2週間後の12月1日には、若手職員を泉佐野市へ視察に送り込んだ。
 
その結果、視察のフィードバックを受けて、ふるさと納税に特化した組織が必要だと判断し、次年度、つまり4ヶ月後の2023年4月には成長戦略室を発足。ふるさと納税を盛り上げるための活動に注力できる環境を整えた。

自治体経営に対する考え方や、意思決定、実行までのスピード感こそ、一連のプロジェクトで成長を遂げた南知多町の新しい姿の象徴だと言えるだろう

2-2.ふるさと納税に期待できる成果

稼ぐ自治体になるために力を入れることを決めたふるさと納税だが、具体的にどのようなメリットがあるのだろうか。
 
ふるさと納税に力を入れることで得られるメリットは、主に3つある。

  • 南知多町を知ってもらえる

  • 地場産業が盛り上がる

  • 税収がアップする

まず1つ目のメリットは、ふるさと納税を通して南知多町を知ってもらえる点だ。これまで南知多町を知らなかった人に、ふるさと納税を通して南知多町の存在を知ってもらえることで、興味を持ってもらう入り口になる。
 
2つ目は、地場産業が盛り上がる点だ。ふるさと納税の返礼品を作るのは地元の事業者であり、ふるさと納税が盛り上がる=地場産業が盛り上がるということになる。
支援者が返礼品を気に入ってくれたら、ふるさと納税に関係なくリピーターになってもらえる可能性もある。
 
南知多町の返礼品で特に人気が高いのが海産物。中でもシラスの人気が高いが、他にもいいものがたくさんある。ふるさと納税は、普段なかなか日の目を見ない地場商品を全国の人に知ってもらう絶好のチャンスなのだ。
 
 
 
また、「ふるさと納税を通してオンライン販売の必要性や重要性に気づいた」という事業者の声も聞かれる。これまでECサイトなどと縁がなかった事業者も、南知多の職員の説明や手助けを経て出品したところ、その反響に喜んでいるという。
 
3つ目は、税収のアップだ。つまり、自治体として稼ぐことができるのが、ふるさと納税制度である。
 
ふるさと納税の寄付金が増えれば、税収がアップするのは当たり前のことだが、期待できるのはそれだけではない。
ふるさと納税をきっかけに地場産業が盛り上がれば、直接的な税収が増える可能性はある。だが それよりも、利益を事業に再投資していただき機械の導入が進めば生産性が上がるだけでなく、「勤めたい職場 も ある素敵な街」と思ってくれる人も増える。
人口が増えれば結局最後は税収も増える。
 
機械化や自動化は決して雇用を奪うだけのものではない。
以下が業務を自動化した社員が増えた事例から引用したものだ。

その他にも、自動化はさまざまな効果を同社にもたらした。「『会社の未来に期待が持てる』『モチベーションが上がる』という言葉を若手スタッフからもらうことができた。私自身、会社の社風がすごく明るくなったと肌で感じている」(有川氏)。
 
さらに、知見の獲得と人材の育成もできた。PLCやプログラミング、画像処理といった技能を習得できた他、システムエンジニアを2人育成することができた。有川氏は「当社にとって一番の財産」と評する。
 
 
「顕著だったのが採用活動への効果」(有川氏)だった。2019年、2020年と採用できなかったのが、ロボット導入後の2021年、2022年、2023年と3年間でキャリア2人、新卒5人の計7人の採用に成功。工場見学でロボットを見て関心を示し、そのまま入社して担当者になったり、新しい取り組みを魅力に感じて入社を決めた社員もいる。
 
高付加価値工程への配置転換も進み、金型技術部で3人を増員できた他、デジタライズ事業などの新事業も始めることができた。「新しい取り組みを評価していただき、従来よりも引き合いが大きく増えている。注文が増えた場合も、そのための人材確保ではなく自動化で対応するという切り札を手にすることができた」(有川氏)。

引用:ロボットを導入したら社員が増えた 北陸中小企業が示す自動化と採用の好循環

このように、ふるさと納税に力を入れることは、行政だけではなく、地場産業の産業振興にも貢献し、それが街の魅力にまで反映される「構造」になっている。
 
散漫になんとなくふるさと納税制度を利用することと、目的を達成するために実行することは違う。南知多の見据えるゴールは高い。

2-3.目指せ4億円!ふるさと納税の今後の課題

これまでふるさと納税関連で特別な活動はしてこなかった南知多町だが、全国的なふるさと納税人気の恩恵を受け、特に何もせずとも自然増で年々寄付金額は増え続け、現在2.4億円の寄付金を得ている。
 
しかし、現場に甘んじるつもりはない。南知多町のふるさと納税寄付金額の目標は、4億円だ。では、ここからどうやってふるさと納税の寄付金額を増やしていくのか?
 
方法はいくつかあるが、4億円到達までの課題は、主に以下の2つだ。

  • 高額返礼品がない

  • 返礼品数が足りない

寄付金額を増やすためには、高額返礼品があると強いが、南知多町には高単価で出品できるブランド牛や家電製品などがない。今後どうやって高額返礼品を生み出すかが課題の1つだ。
 
返礼品数も課題である。目標である4億円を達成するためには、最低でも500品出品する必要があると言われているが、南知多町の返礼品数は、2023年6月現在、393品しかない。
 
ただし、前年度が310品であり、今年度に入って83品も増えたことは、実はとてもすごいことだ。
 
これがどれだけ大変なことか、想像がつくだろうか?ふるさと納税の返礼品数を増やすのは、手間と時間がすごくかかる。大まかな流れを見てみよう。

  1. 登録できる要件に合っている商品を選定する

  2. 候補を絞る

  3. 返礼品として出品してもらえるようにお願いに行く

  4. コピーライティングやサムネイルの検討から、市場調査、競合調査など、出品に必要な様々なサポートを行う

  5. 登録する(2ヶ月かかる)

特に大変なのは 3 で、すんなり首を縦に振ってくれる事業者が少ないのが現状だ。役場のことだし、事務の手間ばかりでめんどうだと潜在的に思っている事業者が意外と多い。
 
税金から給料をもらっている役場の人間がビジネスの話をすることにも、違和感があるようだ。現在は推進室長自ら営業に行き、出品数獲得に動いている。
 
4も大変だ。役場の職員であるにもかかわらず、オンラインでどうすれば商品が売れるのか、ビジネスの勉強をしないといけない。
もはやECサイトのバイヤーとECスタッフと同じような業務内容である。
 
これだけ大変な工程で、しかも登録に2ヶ月もかかるのに、たった3ヶ月で83品も返礼品を増やした南知多町の職員の努力は、並大抵のものではない。
 
手探りながらも着実に結果をだしていて、2024年3月までに4億円の目標を達成するために2023年10月までに登録返礼品数500品を目指して取り組んでいる。

3.予算を使わずに課題を解消!官民共創プロジェクト

人口が減少し、減少する税収を補うために稼ぐことを目的とした戦略、ふるさと納税。
 
一方で、予算を使わずにいかに課題を解消するかという動きも進んでいた。それが官民共創プロジェクトだ。
 
Beth合同会社河上泰之氏の登用も、官民共創プロジェクトの一環で、予算を使わずに南知多町の組織改革を行い、見事成功した。
 
次に取り組んだのは南知多町の大きな課題である空き家問題だ。
お伝えしたように、南知多町の空き家率は、愛知県ナンバーワンだ。

空き家解体は誰もがあまり進んでやりたくないようなことであるが、空き家の存在は周辺住民に不安を与えたり、災害時に2次被害を引き起こしたり、火災の心配があったりなど、そのままにしておいていいことは1つもない。
 
想像してほしいのだが、このまま空き家が増えていくと自宅の周りは空き家が周囲を埋め尽くすような状況になる。
もしそうなると
「もし火事になれば自分の家にも被害になるのでは?」
「空き家でシロアリが発生したら、誰が駆除するのか?」
「空き家は犯罪者や不審者の棲家になってしまうのでは。そんな場所の前を通りながら、子供を安心して通学させられるのか?」
 
このように様々な不安がつきまとい、南知多町で快適に過ごすことは困難になる。
しかし以下のような理由で、空き家解体は進まない現状があった。

  • 空き家所有者に経済的な余裕がない

  • 見積もりが適正か不安

  • どこに依頼すればいいか決められない

  • 解体途中に何かトラブルがあったら怖い

空き家解体は一生に1度あるかないかであり、漠然とした心理的な不安から、ためらう空き家所有者が多いのが現実だった。
 
そこで空き家の解体に悩む人を対象に、解体業者と連携して不安を解消することで、空き家解体を促進してはどうかと考えた。
 
役場から業者の斡旋はできないが、安心して業者を選べるようになれば、空き家解体を促進できるのではないか?そう仮説を立て、民間と協力して行った具体的な取り組みは、以下の通りだ。

  • 解体費用相場の提示(シミュレーション)

  • 信頼できる解体事業者の選定(一括査定で相見積もり)

  • 解体工事に係る資金計画の策定し依頼(対象の場合は補助金申請)

空き家の所有者が空き家解体工事を依頼するまでの問題点に対して解決策を提示することで、空き家除去を促したがこれが大成功を納める。
 
主に2つの結果を得ることができた。

  • 空き家の所有者が安心して解体できた

  • 安く解体できたことで行政代執行のリスクを回避できた

空き家の所有者からはかなり好評を得ていて、不安に満ちた空き家解体作業を安心して終えることができたという声が寄せられている。
 
また、行政にもメリットがあった。行政代執行を回避した物件が増えたのだ。
 
行政代執行を実施すると、多額の費用がかかる。具体的には一軒あたり638万円かかり、これは空き家所有者の負担になる。
しかし先ほどお伝えした流れで相見積もりを取ったところ、366万3千円で解体できる見積もりが出てきた。これを知った空き家所有者は、役場に行政代執行されるよりも、自分でやった方が費用を抑えられることに気づき、自ら空き家を解体する選択をしてくれたのだ。
 
行政代執行は、工事費がかかるだけではなく、職員が延々とそれに関わる事務作業をやった挙句、工事費を空き家所有者から回収しないといけない。お金も時間も労力もかかる上に、空き家所有者に支払い能力がない場合は、1円も回収できないことになる。
行政代執行を回避できたことは、南知多にとっては莫大な業務を実行して実りがないかもしれないという、大きなリスクを回避できたことを意味するのだ。
 
空き家対策にお金を出せない南知多町。
空き家を解体したい空き家所有者。
空き家を解体して欲しい近隣住民。
ビジネスチャンスを得ることができる民間企業。
この空き家をめぐる官民共創事業は、行政と企業だけでなく、住民にもメリットがある官民共創事業のモデルケースだと言えるだろう。
 
南知多では今後も、予算を使わずにコスト0で、民間とメリットを享受できるwin-winな関係のもと、協力して課題を解決していく取り組みを進めていく。

4.20年先も30年先も。南知多は南知多として、これからも存在し続ける

これまでお伝えしてきた組織改革や、ふるさと納税プロジェクト、官民共創など、なんでこんなことをやるのか?
 
それは、1-3でもお伝えしたとおり、将来南知多の人口は減少するからだ。繰り返しになるが、人口予測によると、南知多町の人口は30年後には今の半分以下になる。

<南知多町の将来人口予測>

今後の人口減少の影響で、税収で賄っている財源が減っていくことは明らかだ。一方で、対応すべき課題は増え続ける。
 
事業費も職員も減って、今以上にお金もなくなり、職員も少なくなる中で、増え続ける課題にどのようにして対応するか。
 
その答えがここまで紹介してきた取り組み、

  • 職員数を維持するために、ふるさと納税で財源を確保する

  • 予算を使わずに課題を解決するために官民共創を活用する

ということだ。
 
どんどん新しい技術を取り入れることも随時行っていて、南知多町でも生成AIの試験運用を開始し、活用を模索している。
 
ただし、環境変化について、影響されたら影響されっぱなしというわけではなく、自分でコントロールすることを常に考えている。
 
実はふるさと納税はいつ終わるかわからない政策だ。いつこの制度が終わるかわからない中で、事業者が自分で稼いで生き残る仕組みに切り替えていくことも重要だと考えている。
行政という立場でも、地元の経済を守るという立場でも、これからもふるさと納税を活用していく。
 
南知多町はこれからも、情報をキャッチアップして、常に最新のあり方を模索し続ける。